2026年8月5日 ・ 読了目安 6 分
棚卸のやり方 — 個人事業主・小規模事業者のための現実的な手順
棚卸は「在庫を数える作業」だと思われがちですが、実務の本体は「動きを止める・数える・帳簿との差を説明する」の3つです。 数えること自体より、止め方と差の扱いのほうが結果を左右します。 ここでは1〜3人で回している事業者を想定して、当日の段取りと、翌年から楽になる仕込みを整理します。
なぜ棚卸をするのか (数える以外の理由)
- 決算のため。期末の在庫金額が確定しないと売上原価が出ず、利益が計算できません。個人事業主なら確定申告に直結します。
- 差異の原因を見つけるため。帳簿と現物がずれていたら、記録漏れ・入力ミス・破損・紛失のいずれかが起きています。数字を合わせるだけで終わらせると、同じことが翌期も起きます。
- 持ちすぎ・切らしを知るため。1年間ほとんど動かなかったものと、何度も切らしたものが可視化されます。ここが仕入れ判断の材料になります。
当日の手順
- 1入出庫を止める。数えている最中に物が動くと、その分だけ必ず合わなくなります。営業時間外にやるのが最も確実です。 どうしても止められない場合は「本日出荷分は棚卸対象外」と決めて、対象を物理的に分けてしまいます。
- 2数える順番を先に決める。棚の左上から右下へ、部屋は入口から奥へ、といった順路を決めて紙に書きます。 「どこまで数えたか分からなくなる」が二重計上・数え漏れの最大の原因です。
- 3数えたものに印をつける。付箋でもマスキングテープでも構いません。見た目で「済/未」が分かる状態にします。
- 4その場で記録する。紙に書いて後でまとめて入力する方式は、転記ミスがそのまま差異になります。 スマホで直接入力するか、バーコードを読んで数量を入れる形にできると、この工程の事故が消えます。
- 5帳簿と突き合わせる。差が出た品目だけを一覧にします。全部を見直す必要はありません。
よくある失敗: 差異が出たときに、帳簿の数字を現物に上書きして終わりにしてしまうこと。 数字は合いますが、原因が残ったままなので翌期も同じ差が出ます。 件数が少ないうちに「なぜずれたか」を1件ずつ潰しておくほうが、結局は早く終わります。
差異が出たときの追い方
原因はたいてい次のどれかに収まります。上から順に疑うと早いです。
- 記録漏れ。サンプル提供・自家消費・破損廃棄など、売上を伴わない出庫は記録が飛びやすい筆頭です。
- 入力ミス。単位の取り違え(箱と個)、桁違い、similar な品名の取り違え。
- 場所違い。別の棚・別の箱に混ざっているだけ。「無い」と判断する前に、隣接する保管場所を確認します。
- 本当に無い。紛失・盗難。ここまで来て初めて損失として処理します。
翌年から楽になる仕込み
棚卸が重いのは、1年分の記録の甘さが1日に集中して現れるからです。 負荷を減らす方法は「当日を頑張る」ではなく「日常の記録を軽くする」しかありません。
- 保管場所を品目の属性として持つ。「どこにあるか」が記録されていれば、数える順路がそのまま一覧になります。
- 入出庫をその場で記録できる形にする。事務所に戻ってから入力する運用は、必ず抜けます。現場のスマホで完結する形が理想です。
- コードで引けるようにしておく。商品にバーコードがあるなら、それを品目に紐づけておくと、探す・数える・記録するが1動作になります。
- 閾値を決めておく。「これを下回ったら発注」の線を引いておくと、切らしと持ちすぎの両方が減り、棚卸時の驚きも減ります。
正直に書くと、品目が数十点で担当者が一人なら、Excel と紙のままでも棚卸は回ります。 ツールを入れる価値が出るのは、複数人が触るようになったときと、「いつ誰が動かしたか」を後から追いたくなったときです。 困っていないうちに導入しても、覚える手間が増えるだけになりがちです。
タナオロでの棚卸
タナオロは、上に挙げた仕込みをそのまま機能にしたツールです。 スマホのカメラでバーコードを読んで数量を増減でき、誰がいつ何個動かしたかが履歴として残ります。 保管場所やカテゴリは品目の項目として持てるので、順路づくりにも使えます。
いま Excel や zaico で管理しているなら、CSV をそのまま取り込んで始められます。 無料枠は200件までで、クレジットカードの登録は不要です。 Excel からの移行を検討している方は「Excel在庫管理の限界サイン5つ」もあわせてどうぞ。