2026年9月17日 ・ 読了目安 4 分
安全在庫とは?計算式と決め方をわかりやすく解説
安全在庫とは、需要の急な増加や仕入れの遅れといった不測の事態が起きても欠品しないように、常に確保しておく予備の在庫量のことです。 「発注点」が発注のタイミングを決める線だとすれば、安全在庫はその線の中に組み込まれている予備分にあたります。 個人事業主や小規模事業者でも、出庫記録さえあれば自分で目安を決められます。
安全在庫と発注点・適正在庫の違い
- 安全在庫 = 不測の事態に備える予備の在庫量そのもの
- 発注点 = 「いつ発注するか」を決める基準値 (平均出庫量×リードタイム+安全在庫)
- 適正在庫 = 常に保っておきたい在庫の水準全体 (安全在庫はその一部)
3つとも似た言葉ですが役割が違います。安全在庫は数量そのもの、発注点はタイミングの基準値、適正在庫はもっと広い在庫水準の話です。
簡易な決め方 (まずはこれで十分)
統計的な計算式は後述しますが、日々の出庫記録が整っていない段階でいきなり使うと数字が独り歩きします。 最初は次のようなシンプルな目安で決め、欠品や過剰在庫が起きるたびに調整していくやり方で実務には十分耐えます。
- 過去数ヶ月で出庫が一番多かった週の「1日あたり出庫量」を出す
- それに「リードタイムの日数」を掛けた数量を安全在庫の目安にする
- 欠品が起きたら目安を増やす、過剰在庫が続いたら減らす、を繰り返す
統計的な計算式
記録が半年〜1年分たまってきたら、より精度の高い式に切り替えられます。
- 安全在庫 = 安全係数 × 出庫量の標準偏差 × √リードタイム
安全係数は「欠品をどこまで許容するか (サービス率)」で決まる係数で、サービス率95%なら1.65、99%なら2.33が目安とされます。 出庫量の標準偏差は日々の出庫数のバラつき具合を表す数値で、ExcelならSTDEV関数で計算できます。 式自体は難しくありませんが、前提として品目ごとの日次出庫記録が必要です。
具体例で計算してみる
- ネットショップ (出庫が多かった週の1日平均8個・リードタイム7日): 8×7 = 56個
- 実店舗の主力商品 (標準偏差3個・リードタイム3日・サービス率95%): 1.65×3×√3 ≈ 9個
- ハンドメイド作家の主要パーツ (出庫が多かった週の1日平均3個・リードタイム14日): 3×14 = 42個
リードタイムが長い品目ほど安全在庫は大きくなります。仕入れ先を分散したり発注サイクルを短くしたりすると、必要な安全在庫は減らせます。
安全在庫を運用に落とし込む3ステップ
- 1品目ごとに過去の出庫記録から「出庫が多かった時期の1日あたり出庫量」を出す。
- 2仕入れ先ごとのリードタイムを実測し、簡易な目安 (出庫量×リードタイム) で安全在庫を仮決めする。
- 3発注点 (平均出庫量×リードタイム+安全在庫) に組み込み、欠品・過剰在庫の実績を見ながら数ヶ月おきに調整する。
よくある質問
Q. 安全在庫は多ければ多いほど安全ですか?
A. 欠品は防げますが、保管コストと資金の固定化というデメリットが増えます。欠品による機会損失と過剰在庫のコストを見比べて、ちょうどよい水準を探るのが実務的です。
Q. 出庫記録がまだ整っていない場合はどうすればいいですか?
A. 統計的な式にこだわらず、まずは「出庫が多かった週の◯日分」のような簡易な目安から始めて構いません。記録がたまってから精度を上げれば十分です。
Q. 季節変動がある商品でも同じ式でいいですか?
A. 繁忙期とそれ以外で出庫のブレ幅が大きく変わる商品は、期間を分けて別々に安全在庫を計算し直すのが現実的です。
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安全在庫を組み込んだ発注のタイミングについては「発注点とは」もあわせてご覧ください。