2026年9月24日 ・ 読了目安 4 分
在庫管理のABC分析とは?ランク分けの手順と具体例をわかりやすく解説
ABC分析とは、扱っている品目を売上高や出庫量などの基準で並べ替え、貢献度の高い順にA・B・Cの3ランクへ分ける在庫管理の手法です。 全品目を同じ手間で管理するのではなく、売上の大半を占める少数の品目 (Aランク) に管理の手間を集中させ、 点数は多いが貢献度の低い品目 (Cランク) は簡易な管理で済ませる、という「メリハリ」をつけるために使います。 品目数が20〜30を超えたあたりから、棚卸の手間や発注ミスの悩みが出てくる個人事業主・小規模事業者ほど効果が出やすい手法です。
ABC分析の考え方 (パレートの法則)
ABC分析は「売上の8割は2割の品目が生み出す」という経験則 (パレートの法則・80:20の法則) をもとにしています。 実際の比率は業種や品揃えによって前後しますが、多くの店舗・工房で「一部の売れ筋品目が売上の大半を占め、残りの大多数は少しずつしか売れない」という偏りが見られます。 この偏りを可視化して、管理の労力配分を売上構成に合わせるのがABC分析の狙いです。
- Aランク = 累積構成比 〜70%程度の品目 (点数は少ないが売上の柱)
- Bランク = 累積構成比 70〜90%程度の品目 (中間層)
- Cランク = 累積構成比 90〜100%の品目 (点数は多いが1品目あたりの貢献は小さい)
ランクの境界線 (70%・90%など) に厳密な決まりはありません。まずはこの目安で分けてみて、Aランクの点数が全体の1〜2割程度に収まっているか確認しながら調整するのが実務的です。
手順1: 品目ごとに売上高 (または出庫量) を集計する
過去1ヶ月〜半年程度の期間で、品目ごとの売上高 (単価×出庫量) を集計します。 利益率が品目間で大きく違う場合は、売上高ではなく粗利益額で集計したほうが実態に近いランク分けになります。
手順2: 売上高の多い順に並べ替え、累積構成比を出す
Excelなら次の手順で計算できます。
- 1品目ごとの売上高を降順 (多い順) に並べ替える。
- 2全品目の売上高合計を出し、各品目の「売上構成比」(その品目の売上高 ÷ 合計) を計算する。
- 3並べ替えた順に構成比を上から足し込んでいく「累積構成比」の列を作る (Excelなら1行上のセルとの合計を積み上げる)。
- 4累積構成比が70%までをA、90%までをB、それ以降をCとしてランクを割り振る。
具体例で見るABC分析
20品目・月間売上合計100万円のハンドメイド工房を例にすると、次のような分布になることがあります (数値は説明用の例)。
| ランク | 品目数の目安 | 累積構成比 | 管理の方針 |
|---|---|---|---|
| A | 3品目 (全体の15%) | 〜70% | 毎日出庫を記録し在庫切れを最優先で防ぐ |
| B | 5品目 (全体の25%) | 70〜90% | 週次で在庫数をチェック |
| C | 12品目 (全体の60%) | 90〜100% | 月次でまとめて確認、まとめ発注で手間を減らす |
品目数で見るとCランクが全体の6割を占めますが、売上への貢献は1割程度しかありません。 Cランクの12品目すべてに毎日目を配る代わりに、Aランクの3品目だけ出庫のたびに記録し、Cランクは月1回まとめて数えれば、棚卸全体の手間を大きく減らせます。
ランク別の管理方針の決め方
- Aランク: 欠品が売上に直結するため、出庫のたびに記録し、安全在庫と発注点を細かく見直す
- Bランク: 週次〜隔週で在庫数を確認し、発注点は季節ごとに見直す程度で十分
- Cランク: 月次でまとめて棚卸し、欠品してもすぐに追加発注できる関係の仕入れ先を選んでおけば管理の手間を最小化できる
よくある質問
Q. 新商品や季節商品はどう扱えばいいですか?
A. 過去の実績がない新商品は、当面はBランク相当の管理をしておき、数ヶ月分の実績が貯まった時点で改めてランク分けに含めるのが現実的です。
Q. どのくらいの頻度でランクを見直すべきですか?
A. 決まりはありませんが、季節変動がある業種は季節の変わり目ごと、変動が少ない業種は半年〜1年に1回の見直しで十分なことが多いです。
Q. 品目数が少ない (10品目以下) 場合もやる意味がありますか?
A. 品目数が少ないうちは効果が薄いため、まずは全品目を同じ手間で管理して構いません。20〜30品目を超えて棚卸の負担を感じ始めた頃に導入を検討すれば十分です。
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Aランク品目の欠品を防ぐ仕組みについては「安全在庫とは」もあわせてご覧ください。